B29の無差別爆撃は戦争犯罪かを問う藤田まこと主演の映画「明日への遺言」

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藤田まこと主演の映画「明日への遺言」を TSUTAYAでビデオを借り 遅ればせながら見ました。 大岡昇平の「ながい旅」を原作にした映画で とても考えさせられる内容でした。

藤田まことが演じる陸軍中将・岡田資(1890-1949)は 米軍による1945年3月の名古屋空襲の折 東海軍司令官として任務にあり 撃墜されたB29からパラシュートで降下してきた38人を部下に命じて斬首させたことが「捕虜虐待」に当たるとして 戦後 戦争犯罪人として裁かれることになります。 岡田中将は 「名古屋空襲は無差別爆撃であり 軍事施設への爆撃のみを認めたジュネーブ条約違反となるので 搭乗員たちは捕虜ではなく戦争犯罪人であり 戦争で混乱の極みにあった時に処刑したのはやむをえなかった」と裁判で主張します。

対日戦争裁判は「戦勝国の一方的な論理による裁き」であり 報復的な性格も強くあったので 「捕獲搭乗員に対する斬首という処刑」が正当であったとする主張は通らず 岡田中将は絞首刑の判決を受けます。

異なる判決を得る唯一の可能性として 捕獲搭乗員の処断は無差別爆撃に対する「報復」であったという別の論理で展開する方法もありました。 米軍の陸戦法規は 戦闘員の違法行為に対する「報復」を認めていたからです。 しかし岡田中将はそのことを知りながら「報復ではなく処罰であった」と譲らず 救いの途を自ら断ってしまいます。

公判前に 岡田中将は「私はこの無差別爆撃は犯罪かという法戦(裁判)に必ず勝ってみせるが 判決(死刑)はご勝手だ。 これは米軍にも都合あること故」と述べていたそうです。 岡田中将という人間のスゴイ所は「死刑になることは最初から覚悟の上で 米軍機による無差別爆撃は不法で犯罪行為だったことをひるむことなく真っ向から裁判で主張し 責任を回避せずに罪を一身にかぶることで斬首を実行した部下全員の命を救った」ことです。

岡田中将の志に 作家・大岡昇平は「軍人は上級になるほど政治的になり ずるくなるが 軍司令官クラスには立派な人物が居た」ことを知ったそうです。 

戦後の軍事法廷で訴追され処刑された日本人の戦犯は908名 病死者や自決者を含めると1068名だそうです。 米軍の管理下にあった横浜法廷でBC級戦犯として絞首刑の判決を受け1949年9月に処刑された岡田中将は その内の一人でした。 

映画「明日への遺言」は 戦犯裁判の空しさを裁判記録や法廷メモに基づき正確に淡々と伝えており とても見応えのある内容でした。

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