米原万里さんが橋本龍太郎・元首相を信用しなかった理由

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米原万里著「真昼の星空」(中央公論新社)を読みました。 読売新聞の日曜版に連載(1998年6月~2001年3月)されたエッセイを単行本化したものです。

「真昼の星空」(写真上)は 著者が少女であった時に読んだ女流詩人オリガ・ベルゴリツの本の題名から借用したもので 「現実には存在するのに 多くの人の目には見えないものがある。 目に見える現実の裏にまぎれもないもう一つの現実がある」ことを比喩したものです。

米原万里のエッセイには たくみなユーモアの中に「真昼の星空:目に見える現実の裏に控えるもう一つの現実」について読者の意表をついて指摘するものが多く 「真昼の星」という本の題名は当を得たものと思いました。

目に見える現実の裏に控えるもう一つの現実を示す一例として 著者は本の中で ロシアの小咄に出てくる「没個性的な日本人」について次の如く紹介しています。

「理想的な人間とは どんな人のことを言うのか? それは きっと イギリス人のように料理がうまく フランス人のように外国人を尊敬し ドイツ人のようにユーモアがあり イタリア人のように生真面目で アメリカ人のように外国語が得意で ロシア人のように酒を控えめに飲み 日本人のように個性豊かな人のことでしょう」

良くできたジョークですが 日本人が「真昼の星空」のように「没個性的」という見方は誤りで 日本人の千差万別ぶりは欧米人にひけをとるものではなく 生まれ育った環境によって その個性が万人に分かりやすい形ですぐ表面に出るタイプか否かの違いに過ぎないと著者は断じています。 

ところで 外務省のラスプーチンと呼ばれた佐藤優は 文芸春秋の今月号(9月号)の連載記事「インテリジェンス交渉術-----総理の女性スキャンダル」の中で  米原万里が橋本龍太郎・元首相を信用しなかった理由を次の如く述べています。

ロシア語通訳の米原万里は 大きな瞳で筆者を見つめ 「私 橋龍に襲われそうになったことがあるの」と言った。 橋本龍太郎・元首相は エリツィンとの会談で通訳してもらう内容について相談したいと米原万里を3部屋続きのプレジデント・スイートに呼び出し暫く打ち合わせたが 途中から様子が変わり 米原万里に迫ってきたということだ。 「ほんと 怖かった。 やっとの思いで部屋から逃げ出したわ。 仕事にかこつけて呼び出しておいて 迫るのは男として最低だわ」と米原万里は続けた。

それ以降 米原万里は 橋本龍太郎・元首相を信用しなかったそうです。

橋本元首相と中国人女性の噂が流れた時に 佐藤優は米原万里から聞いたこの話を鈴木宗男議員に伝えたところ 「それは人間性の問題だな。 自分中心のところがある人間は 女性に対してそういうことをする。 通訳という弱い立場に置かれている人に対して 自分の持つ権力を使って迫るという手法は卑怯である」 と怒ったそうです。

日本には 「男の人格が臍から上と下で異なるのは当然であり 非難に当たらない」 という美風?があります。 しかし 一国の総理がそれを実践してみせるのは困ったことです。

この記事へのコメント

2008年08月25日 22:59
白象さん、今晩は。
米原万里、橋本龍太郎、佐藤優、鈴木宗男の関係を興味深く読ませて頂きました。
最近読んだ小説の中に、諜報機関に属する中国人女性と深い関係にあった元・総理というのが出てきて、あれは橋龍のことだったのかな?と。
マスコミが伝える公人の澄まし顔は、全人格のほんの一部なのでしょう。それにしても総理に迫られた米原万里さん、結婚されなかったわけが納得できるような気がしました。
2008年08月26日 06:58
空さま
下ネタ記事を読んでいただき有難うございます。米原万里さんが結婚しなかった理由は色々とあったと思いますが その頭脳明晰さに釣り合う相手が居なかったからではないでしょうか?

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