白象の気まぐれコラム

アクセスカウンタ

zoom RSS 神尾秀雄さん(元トヨタ副社長)とマリアン・ケラーさん(自動車業界アナリスト)

<<   作成日時 : 2008/11/03 06:56   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 1

画像
神尾秀雄さん(元トヨタ自動車副社長 88歳)の告別式が10月28日にカトリック渋谷教会にて開かれたので出席しました。 少し前に トヨタ豪亜部OBが集まって米寿のお祝いをした際には大変お元気だったので 急逝に驚きました。

神尾秀雄さん(写真上)は トヨタの海外部門をズット担当された方で 上司として私も色々とご指導いただきました。 告別式での弔辞で奥田碩さん(トヨタ相談役)は「トヨタの海外事業に多々貢献されたが 特筆すべきはトヨタとGMの合弁事業(NUMMI)を推し進め 米国におけるトヨタ大発展の礎を築いたこと」と述べていました。

奥田碩さんのこの弔辞内容に 私も同感です。 

トヨタとGMが米国での提携(=カローラを生産する折半出資の合弁会社NUMIIの設立)について交渉することになった発端は 1981年11月に東京でトヨタ自販(当時)神尾秀雄専務と米国伊藤忠商事副社長でGMロジャー・スミス会長の特別戦略顧問でもあったジェイ・W・チャイ氏の意見交換に始まっています。 GMは社内にプロジェクトチームを編成し 1982年1月に世界戦略担当のビル・ラーソン 経理本部長のジャック・スミス J・チャイの3氏で構成された代表団をトヨタとの交渉を進めるべく日本に派遣します。

交渉は難航し 決裂寸前までいきますが 神尾秀雄専務の機転により救われます。 この時の生々しい状況について 米国の自動車業界アナリストとして著名なマリアン・ケラーさん(ジェイ・W・チャイ氏夫人)は 著書「GM帝国の崩壊」(草思社刊 1990年)の中で次の如く非常に興味深い記述をしています。

代表団3人は豊田市を訪れたが 話しあいは失敗に終わった。 GMの代表団が見たところ トヨタ自工・田村専務は非常に高飛車で好戦的だった。 話しあいが終わると ビル・ラーソンは帰国したいと言い出したが チャイは何とか取りなした。 そして トヨタ自販の専務で友人の神尾に電話をかけて 話し合いの結果は芳しくないと言った。 神尾専務はチャイの懸念を豊田英二社長に伝えたらしく トヨタ英二社長は翌日の晩に一行を名古屋キャッスルホテルのディナーに招待した。 その席で 豊田英二社長はなんとか事態を好転させようとした。 彼は 辛抱して話し会いを続けるよう代表団を説得するとともに 個人的にこの取引に興味を持っていることを部下たちに知らせたのである。 それを境に話しあいは順調に進み 一行が帰国する頃には トヨタは明らかに改めて話しあいの機会を持つことを望んでいた。 チャイは次のように回想している。 「このとき豊田英二社長は そろそろトップ同士でじかに話しあった方がいいだろうと言った。 こうして彼は アメリカに行ってニューヨークでロジャー・スミスと会う手筈を整えた。(P113〜P114)

マリアン・ケラー著「GM帝国の崩壊」の原題は「Rude Awakening-----The Rise, Fall, and Struggle for Recovery of General Motors」で Rude Awakeningとは「にわかに不快な事実に気づく」という意味で 「寝耳に水」のようなニュアンスがあります。 この本が米国で出版されたのは1989年で 当時 豪州トヨタに居た私は日本語訳される前に英語の原文で読みましたが トヨタと交渉した夫(チャイ氏)から pillow talkで? 聞いた内容を夫人(マリアン・ケラーさん)がそのまま本に書くという大胆さに驚きました。

「非常に高飛車で好戦的」と書かれた田村秀世さんは 豪州トヨタで私がご指導を得た方であり この本を読まれたかどうか ご本人に一度聞いてみたいと思いましたが 恐い顔をして睨まれそうなので小心者の私は果せぬままになっています。 

交渉が決裂しそうになったのは 開発中の実車を見たいというGM側の要望をトヨタが拒否したからです。 提携交渉がまとまるのか分からぬ段階で競争相手に実車を見せることは先ずなく 田村秀世さんは断らざるを得ませんでしたが 1981年から始まった日本車(乗用車)の対米輸出自主規制の中で 日米貿易摩擦を解消するためにGMとの提携は大切であり 芳しくない交渉の状況を神尾秀雄さんから聞き 交渉を進展させるために敢えて実車を見せることにしたのは 豊田英二社長の英断でした。 

神尾秀雄さんを偲び マリアン・ケラーさんの著書「GM帝国の崩壊」に書かれている如何にも神尾さんらしい一面を紹介させていただきました。 合掌。

画像

カトリック渋谷教会での告別式
 

画像

カトリック渋谷教会の外観
 

画像

マリアン・ケラー著「GM帝国の崩壊」(草思社 1990年)
 

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
拝見させて頂きました。そうですね、去年の今頃神尾様も伯父もちゃんと生きていたのですよね。。。神尾様の所には父も行きたかったようですが、東京だったので断念したようでした。母も二重に悲しみに暮れました。
どんどん、著名な方が亡くなって寂しい限りです。
世界不況で渡辺所長も大変のようで、交代されるようですね。偶然友人になったお母様のいとこが渡辺社長とのことで、仲良くなりました。不思議な縁は繋がっていくものだな〜と感じています。この不況をぜひ乗り越えて
トヨタに頑張って欲しいと願うばかりです。
Y’姪っ子
2009/01/05 22:27

コメントする help

ニックネーム
本 文
神尾秀雄さん(元トヨタ副社長)とマリアン・ケラーさん(自動車業界アナリスト) 白象の気まぐれコラム/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる