白象の気まぐれコラム

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zoom RSS シャープの経営危機は「選択と集中」という経営戦略の罠(わな)に足をすくわれた結果なのか?

<<   作成日時 : 2012/09/27 06:37   >>

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『シャープの苦境 足すくわれた選択と集中』と題する9月9日付け朝日新聞朝刊記事(写真上 クリックして拡大可)は経営戦略の難しさを知る上で興味深い内容です。 その要点を抜粋すると 以下です。

経営戦略にも流行がある。「選択と集中」はその最たるものだ。 朝日・毎日・産経・日経の5紙で「選択と集中」を記事検索してみたところ 1990年代前半まではほとんど無く 90年代後半に300件近くに増え 朝日新聞に初めて登場したのは少し遅すぎる感もあるが97年末 2000年以降は ほぼ毎日どこかの新聞に顔を出す人気ぶりだ。 80年代は多角化の時代で 高度成長期から成熟期に入り 本業だけでなく新規事業を探さねばならなかった。 そんな中 米ゼネラル・エレクトリック(GE)は シェアで1位か2位の事業に集中し それ以外は撤退する「選択と集中」で業績を上げた。 そして90年代後半には この言葉が流行となった。 シャープも98年に社長となった町田勝彦氏が就任直後「テレビをブラウンから液晶に置き換える」と宣言し 黒字の半導体を縮小して未来に期待のできる未だ赤字の液晶に集中することを決めた。 この大胆な戦略は当たった。 シャープはシェアトップに躍り出て 「選択と集中」の成功例となり 08年3月期には過去最高の売上げと純利益を挙げた。(中略) しかしながら その後は高収益に育った液晶に集中する目先の利益に頼った判断だった。(中略) 「選択と集中」のすべてが間違いなのではない。 だがそこには罠(わな)がある。(中略) 経営学者のドラッガーは「専門化と多角化のバランス」の重要性も指摘し 「未来は今日存在するものとも 今日予測するものとも違う」と書いた。 集中しさえすればいいのではない。 未来を見た多角化からも逃れられない。 シャープの苦境は 「選択と集中」の罠に 足をすくわれた結果なのかも知れない。

上記に引用した朝日新聞編集委員・安井孝之氏による記事は GEが成功したことで脚光を浴びた「選択と集中」という戦略にも落とし穴があることを シャープの危機を例にして上手く説明しています。

シャープの創業者・早川徳次氏のモットーは「他社にまねされるものを作れ」で 同社はシャープペンシル 国産初のブラウン管テレビ 国産初の電子レンジ 太陽電池 世界初の液晶表示電卓 カラー液晶テレビ 電子手帳ザウルスなどの独創的な商品を次々と生み出してきました。 1998年に社長となった町田勝彦氏は 選択と集中の対象として液晶事業を選び その結果 2008年3月期には過去最高の売上げと純利益を達成するまでに急成長しますが 液晶パネルテレビの製造が韓国のサムスン電子などに真似られ (円高・ウオン安という不利な為替レートの問題も加わり)価格的に競合できなくなったことから経営危機に陥っています。 「真似されるものを作る」ことを創業者のモットーにしたシャープが韓国や台湾で液晶テレビを製造するメーカーに真似られ価格的に対抗できなくなったことは 歴史の皮肉を感じさせられます。

「選択と集中」の対象としてシャープが液晶事業を選んだことは 誤りでなかったと思いますが 液晶パネルから製品までの全てを亀山工場や堺工場などの国内工場で生産する垂直統合方式に拘り過ぎ グローバル化する世界の動きを見誤ったのではないでしょうか。

グローバル化する世界では 価格競争力を失う前に コスト的に安い中国・韓国・台湾・インドなどに日本から生産基地を移し そこから日本・ヨーロッパ・アメリカなどの先進国だけでなく成長著しい新興国などに低価格で輸出し販売する体制を取る必要がありますが 国内で一貫生産するAQUOSブランドの液晶テレビ「亀山モデル」の成功体験から 価格競争力のある海外へ生産基地を移すことに出遅れ 経営危機に陥ったのだと思います。

「選択と集中」に対して 「経営の多角化」で成功している例としてキャノンがあります。 1962年当時 キャノンは売上げの95%がフィルムカメラでしたが 賀来龍三郎氏の下で事業の多角化が推進され 同氏が社長に就任した後は デジタルカメラ プリンター 複写機 ビデオカメラ スキャナー ファックス 計算機 プロジェクター 映像セキュリティ機器 業務用機器 ソフトウェア 半導体/産業機器 医療機器など フィルムカメラを除く多角化された事業がキャノンの売上げのほとんどを占めています。 

「経営の多角化」をせずに 創業以来 一本足経営として自動車という単一商品のみ扱い続けているのが トヨタ自動車ですが 今も有力企業として存在できているのは グローバル化への対応を誤らなかったからです。

『シャープの苦境 足すくわれた選択と集中』と題する9月9日付け朝日新聞朝刊記事(写真上)を読み 経営戦略の難しさを 色々と考えさせられました。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
私は、日本の電気メーカーの衰退の原因は経営手腕の問題では無いと思う。日本のの目覚しい半導体は一時は世界の70%を占める勢いで有った。この事はアメリカの軍事をも脅かすと言う事で日米半導体協定やアメリカの官民揃って日本の半導体メーカーに圧力をかけた。NECなどは日本の防衛庁の電子部門で有ったが、水増し請求問題に始まり圧力で持って防衛部門から外されたかっこうだ。サムスンはそういった圧力を受けなかったので成長した。
hms
2012/09/30 23:44
hmsさま
コメントを興味深く拝読しました。
白象
2012/10/01 07:03

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