定年退職時に1000万円もあれば大丈夫とする津田倫男著「老後に本当はいくら必要か」の珍説

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本の黄色い帯(写真上)に「老後にウン千万円必要などという声に騙されるな! 手元に年金の不足分を補う1000万円もあればいい」と書かれているのを書店で見つけ「そんな馬鹿な話はないだろう」と思ったので 津田倫男著「「老後に本当はいくら必要か」(祥伝社新書)をつい買ってしまいました。

著者は「老後に必要なのは年金(公的年金と企業年金)の不足分を補う1000万円ほど」とする根拠を この本の中で次のように述べています。

中堅企業に勤めたサラリーマンなら 定年時の退職金と貯金で手元に1000万円もあれば夫婦で年金をフルに貰える65歳まで足りる。夫婦で年金をフルに貰える歳になれば 公的年金が年間約420万円となるので この範囲内に生活に切り詰めることが出来るなら預貯金はゼロでも構わないことになる。この範囲内に生活に切り詰めることが出来なくても 中堅企業に勤めたサラリーマンなら 企業年金が入るので問題ないことになる。 それでも困ったら知人や子供に頼るという手もある。万時に休(きゅう)し みっともない生活を潔(いさぎよ)しとしないなら 飲食を1~2週間絶っていつでも死のうと思った時に死ねる。もう老後を思いわずらうことはない。資産を増やそうとしてハイリスクの運用に手を出してはいけない。

中堅企業に勤めたサラリーマンの場合としても 余りに楽観的に過ぎる見方であり 将来のインフレリスク 長生きして要介護や要看護状態になった時の負担 公的年金や企業年金が削減される恐れ 消費税アップの可能性などを考えると 著者の言う「手元に1000万円もあればいい」という説を信じる人は少ないのではないでしょうか。 「困ったら知人や子供に頼るという手もあるし 万時に休(きゅう)し みっともない生活を潔(いさぎよ)しとしないなら 飲食を1~2週間絶っていつでも死のうと思った時に死ねる」という記述には笑って読むしかありませんでした。

これでも著者はエコノミストとしての経歴を持つ企業アドバイザーというのですから 驚きであり 一人よがりの著者の主張に 呆れました。

「老後に本当はいくら必要か」ということについて 私の考えをここで述べるなら これは馬鹿げた質問です。 人それぞれの生き方が異なるなかで 「いくら必要か」が計算できたとしても それだけの額を確保する方法はほとんどの場合 無いからです。 「無い袖は振れない。成るようにしか成らない」ということであり 年金収入や預貯金など手元にある額の範囲内に切り詰めてつつましく生活するしかありません。    

余談になりますが 住宅ローンの支払いが完了している自宅を保有している方の場合には「リバース・モーゲージ(reverse mortgage)」という制度を利用する最後の手段もあります。 自宅を抵当に入れて金融機関から生活資金を借り死んだ時に家を売り借金をチャラにする制度です。 万事に休したら 飲食を絶つ前に 私はこの制度を利用するつもりですが この世に生きて名誉と富を残せなくても 家ぐらいはせめて残したいものですね。

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