「大連ソフトウェアパーク」へのアウトソーシングが急増している日本企業のIT関連業務

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2007年9月3日にNHKテレビで放映された「人事も経理も中国(大連)へ」について 同年9月21日付け私のブログ で取り上げました。 その中で「小・中・高で一緒だった私の友人(M君)が IT関連サービスのアウトソーシングを請け負う大連の会社で活躍中であり 旧交を温めるために大連をいつの日か訪ねたい」と書きました。 

今回 3泊4日で大連・旅順を旅行した際に そのM君を訪ね「大連ソフトウェアパーク」(写真上は 大連ソフトウェアパーク建物群の模型)を案内して貰ったので 約2年前に書いたことがようやく実現しました。

NHKテレビで放映された「人事も経理も中国(大連)へ」 の内容(概略)は以下のようなものでした。 

日本の製造業は生産拠点(ブルーカラーの仕事)を続々と中国へ移し コストダウンを図ってきが 日本語の壁があって事務部門(ホワイトカラーの仕事)のアウトソーシング(業務委託)は難しいと考えられていた。 しかし中国の大連などでは 戦前から日本語を話せる人たちが多い上に 日本語教育を熱心に進めているので 日本語の壁はなく 日本のサラリーマンの5分の1以下という安い人件費を武器に 日本企業の事務部門のアウトソーシングを大量に請け負いつつある。 日本のホワイトカラー1人当たりの生産性は先進国で最低と言われており 中国にホワイトカラーの業務を移した日本企業は既に2500社に達した。 日本語に堪能な人が多い大連にて低コストで請け負えるので マニュアル化できる人事・経理・総務の仕事だけでなく マニュアル化できないソフトウェア作成やデジタル商品のサポート(コールセンターなど)業務も日本企業は大連へアウトソースを拡大している。 日本の製造業だけでなく 経理・財務・総務・コールセンター・ソフトウェア開発といった日本のホワイトカラーの仕事までが次々と中国に移されつつある現実は 日本の労働者にとって脅威であり 2015年までに40万人ほどのホワイトカラーの仕事が、日本から海外に流出すると予測される。 

今回 M君の案内で私が見学した「大連ソフトウェアパーク Dalian Software Park Co.,Ltd. 大連軟件園(株) 略称はDLSP」は 1998年に大連にて設立された中国企業で 日本企業が社外にアウトソース(委託)するIT関連業務を受注し請負うことを主たる業務としています。

日本企業がアウトソースするIT関連業務とは 次の2種類です。

(1) ITO(IT Outsourcing):アプリケーションソフト開発、組み込みソフトの開発、研究開発など
(2) BPO(Business Process Outsourcing):データ入力、コールセンター、人事・経理・総務業務など

大連ソフトウェアパークというプロジェクトは 中国政府が私企業である大連ソフトウェア(株)に 土地(総面積3平方キロ)の整備、建物の建設・管理、人材の育成、技術・運営のサポート、国内・海外への宣伝・誘致などフルサービスをまかせたもので 2007年9月の時点で敷地内に380社が入居し その内訳は 国内(中国)企業58% 外国企業42%(日本企業27%)です。 約25,000人が同パークで働いており 本拠のある大連以外に他地域(蘇州・天津・武漢など)で同様の運営を展開中です。

大連ソフトウェアパークに入居している日本企業には パナソニック 東芝 NEC ソニー 日立 富士通 NTTコミュニケーションズ ソフトバンク オムロン 損保ジャパンなど 外国企業には GE IBM ORACLE SAP HP INTEL BT ACCENTUREなどがあり 外国企業は日本にある子会社の業務を主にアウトソース(委託)しているそうです。

大連ソフトウェアパークの業務は 2006年の調べで アプリケーションソフト開発40% BPO30% 組込みソフト開発10% その他(図面作成、回路設計、製品開発、アニメーションなど)20%となっています。 当初はアプリケーション・ソフト開発などのITO業務を中心に事業を始めましたが 最近ではBPO業務が事業の中心になりつつあるとのことです。

大連ソフトウェアパークに関する詳細は M君が中心になってまとめたウィキペディア(Wikipedia)の該当ページ「大連ソフトウェアパーク」 を参照ください。

トーマス・フリードマンは ベストセラーになった著書「フラット化する世界 The world is flat」の中で 世界的な潮流となりつつあるITOとBPOの代表例として インドのバンガロールと中国の大連を挙げています。 大連ソフトウェアパークは インドのバンガロールにならって 「中国のバンガロール」となることを目標にしているそうですが ほぼ隣接する場所(総面積12平方キロ)にて第2期工事が進められており 遠くない将来にその目標を達成できるのではないかと思いました。

トーマス・フリードマンの本やNHKテレビ番組から 「フラット化された世界」とはどんなものか 漠然と理解していましたが 今回 友人M君の案内で「大連ソフトウェアパーク」を自分の目で見てその一端に触れることが出来たことは 私にとって大収穫でした。

日本企業が海外にアウトソーシングを拡大すると それだけ国内の雇用機会が失われるので 日本の労働者にとっては脅威ですが アウトソーシングは 日本国内の仕事を付加価値の高い(生産性の高い)高賃金を得られるものへと質的に転換する良いチャンスでもあるので その行方を注目したく思います。

旅順・大連に3泊4日で行った旅行記を 「旅順」「大連」「DLSP」の3回に分けて私のブログに載せることにしましたが このページはその最終回です。
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大連ソフトウェアパーク本館の正面

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本館1階の受付け

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第2期工事中の様子

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大連外国語学院(大学)。 中国における日本語教育の総本山。 大連ソフトウェアパークでの仕事を始める前に ここで日本語を1年間教えたM君によると 職員会議は日本語で行われている由

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大連駅前の商店

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大連市内で最大規模の労働公園

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旧ロシア人街。 突き当たりにロシアの旧市庁舎がある

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四川料理店「不見不散」でM君がご馳走してくれたザリガニ

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この記事へのコメント

buriburineko
2009年07月26日 11:39
日本の学校に勤めています。大連の大学の日本語学科の設立準備をするよう上司より内々の指示がありましたが、、、。近く25年ぶりの中国勤務になりそうです。複雑な心境ですが、大連ってずいぶん変わったんですね~。真剣に過去ログも読ませていただきました。
白象
2009年07月26日 14:17
buriburineko様
コメントを有難うございます。 近く25年ぶりの中国勤務だそうで ご活躍を祈ります。
コマで~ス♪
2009年09月11日 15:49
すばらしいブログですネ☆
白象
2009年09月11日 18:58
コマさま
駄文を読んでいただき光栄です。 M君は元気したヨ。
台湾人
2012年06月05日 00:28
大連ソフトウェアパークですか。すごいですね。
白象
2012年06月05日 07:30
台湾人さま
コメントを有難うございます。
星海マン
2012年07月23日 14:16
面白い、情報ありがとう、近く何かIT関係で集まる会はあるのかなあ~?行ってみたい
白象
2012年07月23日 17:08
星海マン様
この情報がお役に立ったのなら幸いです。

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