医療保険会社の不当な支払い拒否を鋭く批判したアメリカ映画「レインメーカー」

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写真上は ジョン・グリシャム原作『原告側弁護人』をフランシス・フォード・コッポラ監督が映画化した「レインメーカー」(The Rainmaker)の中で 正義感と野心に揺れる若き弁護士を演じているマット・デイモンです。

1997年に製作された当時 新聞などで高く評価されていましたが  映画館に行けぬままになっていたことを今頃になって気づき TSUTAYAでDVDを借り自宅で見ました。 米国における医療保険の裁判を巡る興味深い映画であり お薦めです。

映画のあらすじは次のようなものです。 

理想に燃える若き弁護士ルーディ・ベイラー(マット・デイモン)は 初仕事として 白血病の息子ダニー・レイに支払いを7回も拒否し続けている悪徳保険会社グレート・ベネフィット社に対し その母ドット・ブラックを原告に据えて訴えることになる。  保険会社から医療保険料の支払いを受けられぬダニーは 骨髄の移植手術が出来ぬまま死ぬ。 裁判で示談を狙う保険会社に対し ルーディは会社が隠していた証人を探し出し 会社の支払い拒否の実態を裁判で明るみにする。 陪審員は 会社を有罪とし多額の懲罰的賠償金(5000万ドル)を支払うよう命じる。 裁判には買ったものの 会社はその直後に破産申告をしたので ルーデイは賠償金の1/3を弁護士報酬として貰えぬという結末になる。

米国では日本の国民健康保険に相当する公的医療保険がなく 米国民は一定の保険料を民間の保険会社に払い医療保険に加入します。 民間の保険会社はHMO(Health Maintenance Organization)と呼ばれる機構に加入し HMOは特定の医師や病院と契約を結びます。 患者の治療費(医療費)は保険会社から医師・病院に定額が支払われます。

HMOはマネジドケアを提供する民間保険組織として 市場原理によって「医療費」と「医療の質」の管理を同時に行なえるすばらしいシステムとして当初もてはやされましたが  管理(=締めつけ)が行き過ぎ,本来,質の高い医療を提供するための工夫であったはずなのに 現実にはコストの削減だけに終始し 医療が必要となった時に不満足な医療しか受けられないという人々の苦情が殺到しています。 HMOは暴利を貪る保険会社だけに好都合な制度であり 患者や医師にとって不当な仕組みになっています。

アメリカ映画「レインメーカー」では このような米国における医療保険制度の問題点 特に保険会社による医療費の支払い拒否を痛烈に批判しています。

マイケル・ムーア監督も 映画「シッコ」の中で同様の問題を提起しており 詳しくは私のブログ記事 マイケル・ムーア監督の映画「シッコ」と米国の医療保険制度 を参照ください。

全米自動車労組(UAW)は こうした問題を解決すべく 従業員と退職者の医療保険加入を企業負担にしましたが その結果 企業のレガシーコストが膨らみ 皮肉にもGMとクライスラーを破綻させる元凶になっています。 詳しくは 私のブログ記事 GMを亡ぼす元凶となった全米自動車労組(UAW)とレガシーコスト を参照ください。

医療保険の支払いを巡る法廷映画「レインメーカー」は 医療保険の支払いに応じない悪徳保険会社だけでなく 保険会社(被告)と患者(原告)の裏で暗躍する悪徳弁護士に対しても厳しく批判しています。 米国の医療保険制度をダメにしているのは 保険会社と患者を食い物にして不当な弁護士料を貰い 倫理観を持たずに金儲けのためなら何でもする悪徳弁護士にも一端の責任があるからです。

映画「レインメーカー」の中では 悪徳弁護士を揶揄する面白い話として 次のようなQ&Aを紹介しています。

Q: 弁護士が嘘をつかない時は?
A: 黙っている時だけ。
Q: 娼婦と弁護士の違いは?
A: 娼婦は客が死ねば諦める(弁護士は客が死ねば訴訟額が増えるので大儲けできる)。

米国のオバマ大統領は 民間主体の医療保険制度を公的なものに改革すると公約していますが 実現するには厳しい財政の中で1兆ドル(94兆円)の支出となるので 議会の反対を押し切って法案を可決できるのか注目されています。
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ルーディを採用した悪徳弁護士ブルーザー・ストーンは脱税がばれ雲隠れする

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低所得者層を狙った医療保険会社の広告。 病気や怪我で保険料を請求しても保険会社は意図的に支払い拒否をする

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