サブプライム住宅ローンの破綻を予見し“空売り”に賭けた男たちの映画「マネー・ショート」

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第88回アカデミー賞で作品賞、監督賞など主要部門を含む合計5部門にノミネートされ、脚色賞を受賞した映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転」を観ました。 映画の原作はマイケル・ルイスのノンフィクション「The Big Short: Inside the Doomsday Machine(世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち)」で 英語“Short”は“持っていないものを売る=空売り”を意味します。

この映画は サブプライム住宅ローンの破綻を予見してウォール街を出し抜いた4人の男たちの実話に基づいたもので そのあらすじは次のようなものです。

2000年代になると、「サブプライム」という信用度と返済能力の低い顧客層に貸し付けた多額の住宅ローンがMBS(Mortgage Backed Security 住宅ローン担保証券)という債権に組み入れられるようになる。 リーマン・ショックの3年前(2005年)に 金融トレーダーのマイケル・バーリ(クリスチャン・ベール)とその仲間3人は MBSの担保になっている住宅ローンと住宅を調査し 格付けAAAとされているMBSがデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高いことに気付き その危険性を銀行家や政府に訴えるが、全く相手にされない。 そこで MBSの空売りを画策するが その手段が見当たらないので CDS(Credit Default Swap クレディット・デフォールト・スワップ)という金融取引でウォール街を出し抜く計画を立てる。 そして2008年、住宅バブルの破裂に端を発した市場崩壊による投資銀行リーマン・ブラザース倒産とリーマンショックで マイケル・バーリと仲間は巨額の利益をあげることに成功する。

CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)というのは 債券対象の保険契約で 半年ごとの保険料を支払い 債券の価値が下がった時に巨額の保険金をゲットできるというもので 実質的に「空売り」と同じ効果があります。

「空売り」というのは 高い時に株券や債券を借りて売り 安い時に買い戻してキャピタルゲインを得る方法で 株取引では昔から知られた方法ですが MBSにCDSを組み合わせたデリバティブという金融派生商品を生み出した天才的な金融工学者たちに一般投資家だけでなく米国政府やウォール街のエリートや経済の専門家たちが騙され大きなダメージを受けることになりました。

米国の住宅ローンは ノンリコース(住宅ローンを借りた人が払えなくなっても銀行は抵当権が設定されている住宅を処分しローンの残額を請求しない制度)です。 低所得者でも住宅を容易に取得できる制度であり 住宅価格が上昇し続ける限り 銀行にとってリスクは多くなく サブプライム住宅ローンがMBSに債権化され他のローンとミックスされてAAAの格付けをされたので 住宅バブルとなり 住宅バブル破たんを予見できた人はCDSを売却し空売りと同じ効果をあげることが出来ます。

リーマン・ブラザースを含む業界のインサイダーたちが多額のMBSを抱えたのは 住宅取得者と同様に、住宅価格が下落することは絶対にないと考えていたからです。 今になってみると  住宅バブルになぜ気付かなかったのかと思いますが 「誰もバブルが起きていることに気付かないのがバブル」なのだそうです。

映画の原題「The Big Short」に対して邦題の「マネー・ショート」は 金欠(short of money)を連想させるので 適切でないと思います。

この映画は MBSやCDSなどの金曜用語を知らないと 最初から最後までチンプンカンプンで退屈する恐れがありますが このブログを読んでから観る方は大丈夫と思います。
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