アメリカ裏社会を描いたマーティン・スコセッシ監督のNetflix配給映画「アイリッシュマン」を観る

配給会社は 新作映画をネット配信するNETFLIXで 配信に先立ち一部の映画館で上映していますが 日比谷や舞浜などの大手映画館では上映しないので 場末の渋谷映画館UPLINKへ出掛けたところ 座席数45のみでした。 Netflixは 190か国、1億人以上の会員数を誇る動画配信サービスです。
本作は、全米トラック運転組合(チームスター)の委員長:ジミー・ホッファ(アル・パシーノ)の失踪、殺人に関与した容疑をかけられた凄腕の殺し屋フランク“The Irishman”・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)が第2次世界大戦後の混沌としたアメリカ裏社会で見た無法者(マフィア)たちの壮絶な生き様を描いたものです。
この映画を良く理解するには 全米トラック運転組合(チームスター)の委員長:ジミー・ホッファについて予備知識を持っていることが望ましく これから映画をご覧になる方の為に ホッファという人物について簡単に説明すると以下です。
1913年生まれで アメリカ労働組合・全米トラック運転組合(チームスター)の委員長を長年務めたが 1975年に謎の失跡をし1982年に死亡宣言された。 マフィアと手を結びリベートを貰って組合員の年金資金をマフィアに流すなどの不正行為を働いたとされた。1961年、ジョン・F・ケネディの大統領就任に伴い司法長官となったロバート・F・ケネディに、組合の巨額年金の行方や裏社会との繋がりを告発され、厳しく追求されて最終的に有罪になり収監されたが 1971年にニクソン大統領の特赦で出所した。 1975年7月に謎の失跡をし行方不明となったが 2004年 ホッファの信頼する仲間で右腕として信頼されていたフランク・シーランがホッファの後頭部を撃って殺害したとシーランの死(2003年)後に弁護士の手による伝記本で発表された。
この映画の見どころは ジミー・ホッファと司法長官ロバート・F・ケネディとの対立です。 ケネディ兄弟の父ジョゼフ・ケネディは密造酒の販売でシカゴのマフィアとの関係が深く ジョン・F・ケネディーを大統領にしたのは父親の要請でマフィアが支援したからと考えられていたので ロバート・F・ケネディーの厳しい追及にホッファは怒り強く反発しました。 ジョン・F.ケネディが暗殺された時に 全米トラック運転組合本部は米国旗を半旗にし弔意を示しましたが ホッファはケネディ大統領の死はケネディー司法長官の終わりを意味するので喜ばしいとして半旗を元の位置に戻させています。
マーティン スコセッシ監督は 映画「沈黙」で「神と信仰」を描きましたが この映画「アイリッシュマン」では「暴力と社会」を見事に描いています。
映画「アイリッシュマン」は今年のアカデミー賞作品賞の有力候補と言われていますが 新作映画をネット配信するNETFLIXは有力な配給元や映画館と利害が対立しており スピルバーグ監督を含む米国映画業界の重鎮たちがアカデミー賞からの締め出しを画策しているので アカデミー賞の結果が注目されます。
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